冬の野菜として一般的な白菜(ハクサイ)。家庭菜園でも、植えている人は多いですよね。
白菜は暑さに弱いので、定植は9月に入ってからです。この時期から、ホームセンターに苗がよく並んでいます。
品種にもよりますが、収穫できるのは定植してからおおむね60日前後です。
今回は、白菜が巻かない原因に焦点を当て、原因別に対策方法を解説します。
まず、結論は以下の通りです。
・植える時期が遅かった:定植は遅くとも10月上旬まで。(※地域差あり)
・肥料不足または肥料が多すぎる:生育を見ながら追肥の判断をする。
・病害虫による生育不良:特に定植初期には被害にあわないよう気を付ける。
・日照不足:日当たりが良い場所で十分な日照量を確保する。
具体的に見て行きましょう!

今年こそ、しっかり葉がつまった白菜を作りたい!
白菜(ハクサイ)の葉がきれいに巻かない原因
植える時期が遅かった
白菜の生育には適度な気温と日照が不可欠です。種まきは遅くとも9月上旬までに、定植は10月上旬頃までにする必要があります。
地域差もあるので、東北や北海道ではもう少し早め、西日本ではやや遅くてもOKです。
白菜の生育適温は15~20℃です。
特に、結球する適温は15~16℃です。
したがって、生育時期に上記の温度を下回ると、うまく巻いてくれません。
早くに植え付け、残暑のせいで巻かなかった…という事例もありますが、植え付け時期の遅れによりうまく巻かないことの方が多い印象です。
どうしても遅れた場合は、早生品種(わせひんしゅ)を選ぶと結球しやすくなります!
肥料不足または肥料過多

窒素肥料が多いと細長い葉が出るばかりで、充実した結球葉が出てきません。
内側の葉の緑が濃く、巻く様子がないのは肥料が多い証拠です。追肥はせず、様子をみましょう。
逆に、肥料が不足すると外側の葉が小さくなり、十分生育しません。
施肥の目安は以下の通りです。
※10㎡当たり成分量
窒素 | リン酸 | カリ |
200~250g | 150~200g | 200~250g |
病害虫による生育不良

白菜の主な害虫・病気は以下の通りです。
害虫…青虫、ヨトウムシ類、ハイマダラノメイガ、キスジノミハムシなど
病気…軟腐病、根こぶ病、尻腐れ病、菌核病 など

軟腐病は比較的暑い時期に出る細菌性の病害です。軟化・腐敗し、特有の悪臭があります。私も農業現場でよく見ていました。
害虫に関しては、特に定植直後の暖かい時期に加害されることが多いです。苗が小さいうちに被害にあうと、それ以降の成長にもかなり影響があります。
青虫やヨトウムシ等の対策として、防虫ネットをしっかり被せることで、被害を防ぐことができます。
防虫ネットなどの害虫対策は以下の記事でも詳しく解説しています。
【家庭菜園で使える!】害虫対策の方法について解説!ヨトウムシ、青虫、アザミウマ、コナジラミなど | あさきの農らぼ
病気については、根こぶ病のように一度かかると回復が難しいものもあります。連作を避け、水はけの良い土壌づくりが病気の予防につながります。
菌核病は地際部分から発生しますが、ひどくなると結球部分にも広がり、下図のイラストのようになります。菌が密集し、ネズミのフンのような病斑を作ります。これが「菌核」です。

日照不足
外側の葉(老化した葉)や内側の葉(若い葉)と比べて、真ん中の適度な大きさの葉の巻く力が強いです。
ちょうど、人間でいえば青年が最も活発に働くようなものです。
そんな青年(葉)をしっかり充実させるために、十分な日照を確保する必要があります。
日照不足になると、葉色が淡くなったり、外葉ばかり大きく中心が膨らまない症状が出やすくなります。
同時に、日の長さも重要です。しっかり結球した白菜を作るためには、1日8時間以上の十分な日照が必要です。
対策としては、白菜同士や他の作物との間隔を広めにとること、家庭菜園やプランターでは日当たりの良い場所へ置くことがポイントです!
まとめ:必要な対策を実践して、ぎっしり中身の詰まったおいしい白菜を作ろう!
今回の記事は、白菜の葉がうまく巻かない原因とその対策を解説しました。
まとめると、植え付け時期・肥料管理・病害虫・日照 の4つが大きな要因でした。
これらを意識することで、ぎっしり詰まったおいしい白菜が収穫できます。
家庭菜園でも失敗しがちな「巻かない原因」を押さえて、ぜひ今年は成功させましょう!
<参考文献>
・幸田浩俊,「農業技術大系 野菜編 第7巻」,農文協(1972),pp.基23~基24
・タキイ種苗株式会社 野菜栽培マニュアル ハクサイ
https://www.takii.co.jp/tsk/manual/hakusai.html (参照:2025年9月28日)
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